頑張る=偉い?
今日はバイト中に一生忘れることはないだろうセリフを聞いたのでそれについて書きます。
すこし長くなります。
僕のバイト先はお寿司屋さんなんだけど回転寿司ではなくて、注文されてから握るタイプの店で、店はすごく大きくて一度に200人近くのお客さんが入ることがある。
寿司だけではなく煮物や天ぷらもだすいわゆる寿司割烹料理店でちゃんと修行を積んできた料理長と呼ばれる人がいてその下に1人だけど弟子として若い見習いがいるような本格的な店だ。
料理長は40代前半くらいで若い時から修行をつんでいるから料理の知識も技術も目を見張るものがある。
世間が言う料理上手なんてものではなくて、お造りは写真に撮りたくなるくらい綺麗だし、食材についての知識もとても深くて、いわゆるプロフェッショナルだ。
その見習いである弟子は今年23になる男で、もう6年も料理長のもとで勉強している。
弟子はあまり真面目に修行を積んでいるとは言えず、料理長にたくさんのことを教えてもらってはそのつど忘れて、何度も同じことで怒られて、料理の勉強もせずにパチンコばかりしている。
僕からみても向上心がないように思えた。
料理長は厳しい人だから毎日のように弟子を厳しく叱っていて時には怒鳴ったり手をあげたりする。
でも理不尽に怒ったりはしなくて、ちゃんと怒るべき理由があるから怒るし、なにより6年も面倒を見ている料理長には怒る権利があると僕は思っている。
そんな料理長が例のごとく今日も弟子を怒鳴りとばした後に、僕の横にきて静かにこんなことを言った。
「俺はどうしてこんなにいつも怒ってばっかりいるんだろうな…
意外かもしれないけど俺だって休みの日にはよく笑うんだぞ」
僕はその言葉を聞いて涙が出そうになってしまった。
仕事ってなんて辛いんだろう。
「いつもあいつを怒ってばかりいるからバイトの子たちには俺はヤバイ人だって思われてるんだろうな。
俺だって本当は怒りたくなんかないさ。」
そこまで言うと作業に戻っていった。
僕は何も言えなかった。
僕は料理長がヤバイ人だとはこれっぽっちも思っていない。
確かに厳しい人ではあるけど決して気難しいわけじゃなくて、頑張ったら褒めてくれるし、とても気にかけてくれる。
ただ仕事に対してストイックなだけだと思う。
6年も弟子として働かせたんだから一人前にしなきゃいけないという使命感みたいなものがあって、そのために怒りたくなくても声を荒げてしまうんだと思う。
でも確かにバイトやパートの中には料理長のことをヤバイ人だって思ってる人も少なからずいる。
ただひたすら料理長なりにストイックに仕事に向き合えば向き合うほど怒らなきゃいけないし、その分まわりには怖がられてしまう。
救いがないように思えた。
僕はバイトを初めるまでは仕事を真面目に頑張れば当然報われると思っていた。
でも世の中はそんなに単純ではないみたいだ。
それは就活を終えた今ならすごく身にしみていて、どれだけ一生懸命就活をしても内定を貰えない人はいて、就活においては「頑張る=偉い人」って方程式が成り立たなくなる。
でも「頑張らない=ダメな人」って方程式は依然としてなりたつ。
この不思議な2つの等式は仕事を退職するまで付きまとうのかな。
きっと何度も何度もやりきれない思いをするんだと思う。
それでも僕たちは仕事を頑張るしかないのだろう。
辛いなんてことは分かりきっていても、自分がやりたくもない仕事でも、勤務中に一切の笑顔がなくても、僕たちは仕事を頑張るしかないのだろう。
と、まあ実際に働いている人が読んだらたくさんの異論を唱えそうな文章を書いてしまった。
でも僕は本気でそう考えているし、仕事が楽しいなんて言ってる人は本当に幸運な人なんだと思っている。
明日も朝はやくからバイトなのでそろそろ寝ようと思う。
バイトはとても辛いけど、1週間後に彼女に会えるから頑張れる。
半年後に仕事をはじめたらもっともっと辛いと思うけど、その時も彼女がいてくれたらきっと
周りに頑張りが認められることがなくても、頑張っていけるんだろうなって思う。
あんまこの話とは関係ないけど。